松岡美術館 ブログ

タグ:寺島 ( 8 ) タグの人気記事




鎌倉秀雄先生

去る3月14日、日本美術院同人で業務執行理事の鎌倉秀雄先生が逝去されました。享年86歳。

現在展示室6で開催中の「松岡清次郎が愛した画家たち 鎌倉秀雄・小笠原光・林美枝子・今井ロヂン」に、鎌倉先生の当館所蔵の全6作品を展示しています。

1979年から1988年にかけての院展出品作で、豪奢なインドの女性像や壮麗なエジプトの王妃、そして奈良興福寺の仏像などが、いずれも120号を超える大画面に描かれています。
e0200353_19232537.jpg
e0200353_20070196.jpg
1979年 再興第64回院展 《粧》 奨励賞
 
展示が始まって間もない1月28日、先生が奥さまとご一緒に来館された折に「旅行も飛行機も大の苦手だけれど、意を決して行きました。」とインド・エジプト取材時のご苦労をうかがい、また、お寄せ下さった幼少期に患っていた喘息と絵を描く喜びを綴ったコラム『少年期の私』は、「本邦初公開のお話しです。」と笑顔で教えてくださいました。
展示室では、このほかにも先生にご執筆いただいた各作品の思い出を紹介しております。

かつて新橋にあった当館に何度かスケッチにおいでになった頃のことをお尋ねすると、
「松岡清次郎館長と私は性格はまったく違うけれど、なぜかウマが合ったんですよ」と、懐かしそうに目を細めておいででした。
今回の展示をとても喜んで下さり、「また来ます。」とお帰りになったのが先生とのお別れになってしまうとは、そのときは思いもよらぬことでした。
e0200353_20144482.jpg
1981年 再興第66回院展 《追想王妃の谷》 二度目の日本美術院賞(大観賞)に輝き、同人推挙となった作品。2017年1月28日 当館展示室6にて。

先日、展示室5「美しい人びと」で展示中の《竪琴》作者 松室加世子先生がおみえになったとき、《竪琴》制作にまつわる鎌倉先生の思い出を話しくださいました。
はじめ竪琴の絃は金泥で描いていたけれど、切金(きりかね:金箔を細く切って貼り付ける技法)を使ったのは鎌倉先生から勧められて、とのこと。びっくりするとともに、同じ安田靫彦門下の日本画家同士、こんな交流をされていたのか、とたいへん興味深く拝聴しました。

院展のホームページでは、「わたしの画歴」と題して鎌倉先生が安田靫彦先生に入門された経緯を語られています。リンクはこちらです。
代表作 1987年 再興第72回院展 《阿修羅》 などの画像も紹介されています。因みに、松岡は《阿修羅》を取得したかったらしい、とは鎌倉先生に以前うかがったお話。文部大臣賞を受賞したこの作品は、現在、東京国立近代美術館の所蔵となっています。

鎌倉先生、素晴らしい作品の数々をありがとうございました。そして先生の画業を支えていらした奥さまと共に、当館の展示へ多大なご協力を賜りましたこと、ここに厚くお礼申し上げます。 

鎌倉先生が50代の頃に取り組んだ大作6点を展示しております。会期は5月14日(日)まで。皆さまのお越しを心よりお待ちしております。 (寺島)

[PR]



by matsu_bi | 2017-05-10 10:00 | 企画展について

松室加世子先生のご来館

5月4日(木・祝)「美しい人びと」で展示中の《竪琴》を描かれた、松室加世子先生がご来館下さいました。松室先生、ご多用中のところお運びいただきどうもありがとうございました。

e0200353_19543714.jpg

松室先生よりうかがった、制作当時の思い出をご紹介いたします。

《竪琴》には桃山時代の女性を描きましたが、安田靫彦先生、羽石光志先生(共に歴史画で名高い院展作家) について学んでおりましたので、やはり歴史画を描こう、との想いからの制作でした。

歴史画と申しましても、歴史的な事件や事実を描くのではなく、自分の中でいろいろと空想を広げて表現いたしました。

当時、桃山時代にとても親しみを感じており、信仰に命を捧げるキリシタンの人びとに興味をおぼえて、こうした絵画ばかり描いておりました。

e0200353_19541204.jpg

松室先生のお言葉のとおり、《竪琴》の遠景には尖塔に十字架が見えています。イタリアの教会をモティーフに、舞台もイタリアを想定されていたとのこと。そして現在は展示しておりませんが、当館には先生の作品がもう一作、明智光秀の三女でキリシタンとして有名な細川ガラシャを描いた《燭光》も所蔵しております。こちらは《竪琴》の翌年に制作されました。

「美しい人びと」も会期終了の5月14日(日)が近づいてまいりました。
展示室で竪琴を奏でる桃山時代の美しい人に会いにいらっしゃいませんか?皆さまのご来館を心よりお待ちしております。 (寺島)

[PR]



by matsu_bi | 2017-05-05 10:00 | 最新情報・お知らせ

中国陶磁みてあるき2016

この春、東京では中国陶磁の展覧会が相前後して開催されています。

五島美術館、東京国立博物館、町田市立博物館、松岡美術館の4館で連携して、
「中国陶磁みてあるき2016」と題し、
各館の展示情報や関連作品などを相互に紹介しています。

当館でも、現在「松岡コレクション 中国の陶磁 漢から唐まで」を開催中の展示室4に
各館の展示情報紹介パネルを設置し、
パンフレットやチラシ、割引券などの配布を行っています。
是非お立ち寄りください。

展示の詳細、アクセスなどは各館のホームページをご覧ください。

五島美術館 「館蔵 中国の陶芸展」 開催中 2/20土~3/27日

町田市立博物館
常盤山文庫と町田市立博物館が語る―中国陶磁うつくし―」 開催中 3/12土~5/8日

東京国立博物館 「中国陶磁の技と美」 開催中 3/15火~5/15日

これを機会に、春の東京であちらこちら、中国陶磁を気軽に楽しんでみませんか?

(寺島)
[PR]



by matsu_bi | 2016-03-13 16:37 | 最新情報・お知らせ

向島百花園の句碑

 11月17日(日)まで展示の 蹄斎北馬《三都美人図》三幅対 は、江戸・京都・大阪の三人の美人が描かれていますが、右幅 江戸美人の背後に一基の石碑が見えています。文化11年(1814)に建立された句碑で、俳句は千樹菴益賀による「鳥の名の都となりぬ梅やしき」、書は江戸琳派の絵師酒井抱一によるもの。

e0200353_23291315.jpg


 描かれている場所は向島百花園
この句碑は入口の門をくぐったところに現在も建っています。画像の右は今年の3月、まだ梅が残る頃に訪問した時に撮った写真。コンクリートで土台が補強してありましたが、ほぼこの絵と同じ姿です。北馬が抱一の筆跡を上手に写していて感心してしまいました。

 開園当時は梅の花が評判で、梅の名所として知られていた亀戸の梅屋敷に対して、こちらは新梅屋敷と呼ばれたようです。(寺島)
[PR]



by matsu_bi | 2013-11-09 15:00 | 企画展について

かわいいもの、ぶさかわいいもの

現在、2階展示室4で開催中の「松岡コレクション うつわのかたち」には、"かわいいもの好き" としては見逃せないものがあちこちに点在しています。今回はその一部をご紹介します016.gif

展示室4に入って最初にご覧いただくAケースには、こんな可憐な小鳥とつぶらな瞳がキュートな羊が、お客様をお迎えしています。
e0200353_1442818.jpg

いずれも把手(はしゅ・とって)の上にちょこんと乗っています。ここは本来ならば把手を握るとき自然と親指をのせる位置。実用には邪魔な存在かもしれませんが、そんな不便さを厭わずに、こうした小さくてかわいいものを愛でる感性を持った人たちが、国も時代も遠く隔たったところにいたのだなぁと思うと、“かわいいもの好き”同志として嬉しい親近感を覚えます。

Aケースから左に曲がってBケースに参りますと、今度はこんなぶさかわいいものたちが待っています。
e0200353_14423670.jpg

左は麒麟(キリン)で右は獅子なのでしょうが、一目見るなり思わずぷっと吹き出してしまうご面相037.gif 麒麟はまだしも、獅子ってこんなに顎が長かったかしら?一体どこからこの不思議な雰囲気は醸し出されるのかしら?などなど、しばし凝視&考察に耽ってしまいます。周囲のごくごく普通な花鳥文とのギャップが、この妙なおかしみを増幅させているのかもしれません。これら三頭が生息しているのは、正面からはちょっと見えないところ、うつわの左右側面の下の方。どのうつわに潜んでいるかはBケースを探索して下さいね。

かわいいもの、ぶさかわいいもの、みんな揃って皆さまのご来館をお待ちしております。展示室でうつわの全貌とともに、ほっこり、にやにや、ご覧いただければ幸いです。展示室5・6の「松岡コレクション 印象派とその時代」とともに9月23日まで開催中です。 (寺島)
[PR]



by matsu_bi | 2013-07-02 15:56 | 企画展について

つまさきフェチ!?

 只今開催中の女性美 The Beauties He Loved
2階展示室5 は2月28日から一部展示がかわり、
鏑木清方、伊東深水、上村松園、伊藤小坡、菊池契月、橋本明治による美しいひとびとが、
江戸時代の美女たちに替わって、皆さまのお越しをお待ちしています。

 その中から、一人と一匹をちらりとご紹介しましょう016.gif
e0200353_21535555.jpg

 繊細な筆づかいで描かれた白い足もと。紅白の鼻緒が心地よく素足になじむ感触が、
伝わってきませんか?親指と人差し指の間がちょっとむずむずしたりして(笑)
 お供のわんこは、後ろ脚がすんなり伸びたスマートさんです。

 この麗しいつまさき&後ろ脚の持ち主は、誰でしょう? 
    答えは 女性美 関連イベントのご案内左上をご覧ください。
    ちなみに、4月8日(日)は今からでもお申込み可能です!        (Terajima)
[PR]



by matsu_bi | 2012-03-29 10:00 | 企画展について

青のうつわ 密かに狙っているもの

先日ご紹介した、青花葡萄文大盤の先を左折すると、こんな感じに明時代の永楽期から宣徳、成化の青花磁が並んでいます。
e0200353_1647124.jpg

今回展示されている青花磁の中で、もう一つのお気に入りは青花花果文盤
「大明成化年製」銘が口縁外側の辺りに書かれていて、ケースの前で少し屈んで見上げれば、はっきりは読めないかもしれませんが、何かが書いてあるのは見えるはず。拡大写真も添えてあります。
e0200353_16495976.jpg

成化期のものは当館ではこれが唯一の所蔵品。薄い器壁の優美な姿形、絵付けの淡い青の色あいも上品で、うっとり見惚れてしまいます016.gif この盤の主役は石榴(ざくろ)ですが、葡萄の盤と同様に主文様の周囲に脇役たちがいます。林檎、桃、茘枝(れいし)、サクランボの可愛らしい折枝が描かれ、フルーツ尽くしの趣向です。
青のうつわ −東洋の染付と青磁を中心に− のページで拡大画像をご覧下さい。こちら

そして、この盤をモティーフにして、ミュージアムショップで今回初めて作ったオリジナルのペーパーウェイトがありまして、とっても気になっています。
e0200353_16474620.jpg
厚いガラスを通して見える文様の歪み加減がなんとも涼しげで美しく、もしももしも売れ残ったら引き取りたいな~と密かに狙っているのですが、首尾は如何に?! 012.gif (Terajima)
[PR]



by matsu_bi | 2011-07-14 17:01 | 企画展について

青のうつわ 脇役ですが 

当館では、各展示室のガラス清掃は館員が行っています。
展示ケースを拭く時は、現在展観中の作品を観察する絶好の機会016.gif
奇妙に思われるかもしれませんが、館員といえども日常業務中は作品をじっくり鑑賞する時間は案外ととれないもの、ましてや自分の担当していない展示は尚更です。

暑さが厳しくなってきた今日この頃、ガラス清掃が楽しみなのは 青のうつわ −東洋の染付と青磁を中心に− を展示中の2階展示室4。中国の青花(せいか)、日本では染付(そめつけ)と呼ばれる白地に青い模様が描かれている陶磁器は、見るからに涼やかで、作品ひとつひとつの磁肌の白さやコバルトブルーの発色の微妙な違い、描かれた文様の軽やかな筆さばきなど、見飽きることがありません。
もちろん手はせっせと動かしながらです! 029.gif

明時代の青花葡萄文大盤(せいかぶどうもんおおばん)は、名前の通り葡萄が主役ですが、その周囲を廻る唐草文には、菊、撫子(なでしこ)、牡丹、椿、といった色々な種類の花が描かれています。花弁の輪郭線をぎりぎり残して青い色を重ね塗りしているので、幾重もの花弁を塗りつぶすことなく、そのニュアンスが上手く表現されています。
e0200353_18255818.jpg

ちょうど展示されている場所がL字型ケースの曲がり角辺りなので、裏側にも同じ唐草文があるのがよーく見えます。
展示室4 最初のケースには元〜明時代初期の青花大盤がずらり!
e0200353_1914135.jpg

ガラスを拭きながら、脇役の花々の可憐な姿や青の濃淡の美しさを心の中に描き留めるのが、私の目下のところの小さな楽しみなのです。
会期中に是非リアルスケッチもしたいのですが、さてさて? 011.gif
ちなみに当館では、鉛筆でのスケッチ可能です。その際は、近くでご覧になっている方々へのご配慮もお願い致しますね。

青のうつわ −東洋の染付と青磁を中心に− ご案内はこちらです。

清々しく爽やかな色あいの陶磁器たちがお待ちしています。ちょっと涼みにいらっしゃいませんか?スケッチブックと鉛筆もお供にどうぞ!    (Terajima)
[PR]



by matsu_bi | 2011-07-04 10:00 | 企画展について

松岡美術館 公式ブログ
by matsu_bi
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

フォロー中のブログ

検索

ファン

ブログジャンル

画像一覧